2015年2月16日 (月)

ラブジョイ彗星は健在でした

先月下旬に撮影したラブジョイ彗星(C/2012 Q2)は太陽から遠ざかりつつあって7等級まで減光しましたが未だ健在でした。現在の位置はペルセウス座にあってカシオペア座の”W”のすぐ近くで見ることができます。

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口径101mm,焦点距離540mmの望遠レンズを使っているので先月の写真より迫力があると思います。ISO-1600で3分露出の写真を5枚合成しています。

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同じ写真を白黒反転しています。彗星の淡い尾を確認するのためにこの手法が良く使われます。尾は先月の写真よりはだいぶ短く淡くなったのですが未だ10時の方向に伸びているのが確認できます。

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今の時期はオリオン座が見ごろになっています。機材を片付ける前に馬頭星雲(暗黒星雲)を撮影したので載せておきます。5分露出の写真を3枚合成してから暗黒星雲がよく分かるように画像処理しました。肉眼では見えませんがオリオン座の中央にある3つ星の左端にあって赤いガスの光を馬の頭の形をした手前のガスが隠しています。面白い形ですね。

2014年12月28日 (日)

ラブジョイ彗星(C/2014 Q2)

オリオン座の南に輝いているラブジョイ彗星(C/2014 Q2)を12月25日に撮影しました。今は6等級の明るさですが1月中旬には4等級まで明るくなると予想されていて位置さえ分かれば双眼鏡でも観ることが出来ます。

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写真では分かり難いのですが11時の方向から左上方向に淡い尾が伸びています。

この写真は約9分間の露出で撮影しましたが、彗星の核を望遠鏡で追尾しているのでバックに写っている恒星は短い線状になっています。撮影に失敗したのではなくその長さ分だけ彗星が移動していることを示しています。

写真は口径101mm,焦点距離540mmの天体望遠鏡に特殊な改造を施したデジタル一眼レフカメラを取り付けて撮影しました。ISO感度は1600にセットして露出時間は524秒でした。
予定では1200秒露出でしたが途中で雲が広がってきたので中断しました。このために尾の写りがいまいちだったのかも知れません。

写真を2回クリックすれば大きい画像でご覧になれます。

これから徐々に高度が上がって撮影し易くなるので年が明けたら再挑戦してみようと思っています。

2014年10月28日 (火)

巨大な太陽黒点が出現中

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太陽の表面に地球の10倍以上もある巨大な黒点が出現しています。この写真は10月24日に撮影しました。

ボーグ101ED(f=640mm)の対物レンズを80mmに絞り、アストロソーラーフィルター(ND5相当)を使用して撮影。ISO-400,1/1000秒露出

2014年8月29日 (金)

ジャック彗星 (C/2014 E2)

8月16日から大泉の山荘に滞在しましたが、今年は連日の悪天候でなかなかで星の撮影ができませんでした。しかし8月21日は今の時期には珍しく快晴に近い夜空になって漸く撮影の機会が訪れました。

天気図を見ると一夜かぎりの晴天と思われたので撮影対象をジャック彗星に絞って深夜1時から待機しました。彗星は8月には明け方の空から深夜の空へと大きく移動しました。

今はペルセウス座付近にあって急速に観測条件が良くなり、8月末までは6等級で観測できると予報が出ていましたが、撮影した8月21日は赤いガス星雲IC1805(ハート星雲)の近くだったので同じ画面に映すことができてラッキーでした。写真をクリックして大きいサイズで見て下さい。

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この写真は口径101mm,焦点距離540mmの天体撮影用望遠レンズを使って撮影しました。
ISOは800に設定して3分露出の写真を2枚コンポジットしています(合計6分露出)。
赤いガス星雲が良く写るように改造したCanon Eos X2とLPS-P2フィルターを使いました。

もっと多くの枚数を撮影して彗星の核を基準にコンポジットできたら彗星の尾が写せたかも知れません。まだ撮影のチャンスはあるので挑戦してみたいと思っています。

2014年6月 1日 (日)

パンスターズ彗星 (C/2012 K1)

昨夜はパンスターズ彗星を撮影しました。
この彗星は2012年5月にハワイ大学の全天観測プロジェクトによって発見されました。現在は9等級で北斗七星の近くにありますが、近日点通過は未だ3ヶ月先なので今後もっと明るくなることが期待されています。

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青緑色の頭部から左側にダストテールが伸びているのが確認できます。

6分間露出の1枚撮りで画像処理は行っていませんが、彗星の頭部を基準にしてオートガイドしたので他の恒星は少し伸びています。天文薄明が終わる頃にはかなり西の空に傾いているので長時間の撮影はできません。

2014年1月 6日 (月)

撮り初めは2つの彗星

夜明け前の東の空にはラブジョイ彗星とリニア彗星が輝いているので正月ボケを解消するために早起きして撮影しました。今年の撮り初めです。ドーム内の気温はマイナス5℃だったので外気温はマイナス7~8℃程度まで下がっていたと思います

ラブジョイ彗星はアイソン彗星の陰に隠れて脇役に甘んじていましたが、アイソン彗星が消滅してからは当初の予報を超える明るさに成長して主役の座を獲得しました。天文ファンにとっては良い方向に期待を裏切ってくれました

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リニア彗星(C/2012 X1)
2014年01月06日 午前5時16分から10分露出(彗星核基準でオートガイド)
明るさは10等級ですが原画では短い尾が確認できました

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ラブジョイ彗星(C/2013 R1)
2014年01月06日 午前5時30分から5分露出
明るさは5等級まで下がりましたが未だに彗星らしい見事な長い尾を伸ばしています
眼視で見つけるのは困難ですが5cmファインダーでは楽に確認できました

ラブジョイ彗星は高度が低いのでドームからは午前5時30分頃にならないと撮影できません。
6時には薄明が始まるので僅か30分ほどしか撮影のチャンス無いので作業が慌しいです。

撮影機材
レンズ:ボーグ101ED + 0.83RD + LPS-P2フィルター (合成f = 540mm,F/5.4)
カメラ:キャノンEOS X2 (IR改造)  ISO-1600  RAW + JPEG

2013年12月 7日 (土)

ラブジョイ彗星の撮り納め

明日帰京するので昨夜は午前0時までオリオン座大星雲(M42)や馬頭星雲を撮影し、その後少し仮眠して午前4時からラブジョイ彗星(C/2013 R1)を撮影しました

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今回は機材を”ボーグ101ED+RD+LPS-P2(540mm)”に代えたので前回の200mmより迫力のある写真が撮れたと思います。
ブログ上で詳細データは省略しますが3分露出の写真6枚をステライメージVer.6.5で加算平均でコンポジットしてみました。縦構図で撮った写真を横に寝かせているので右が地平線側になります。右端の星は4.8等級なので彗星の核は4等級程度にはなっていると思われます。

もう山荘の庭からは位置的にも時刻的にも撮影できる条件が限界に近づいたのでラブジョイ彗星は撮り納めにすることにしました

最後に試しに1枚だけリニア彗星(C/2012 X1)を撮ってみたら運よく画面の隅に写っていましたが、既に薄明が始まっていたので見栄えのある写真に仕上げるのは自分にとって至難の業でしょう。でも帰京したら試してみるつもりでいます

2013年12月 5日 (木)

ラブジョイ彗星は健在

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アイソン彗星は期待を裏切って消滅してしまいましたが、ラブジョイ彗星(C/2013 R1)の方は健在で4等級の明るさで夜明け前の東の低い空に輝いています。
でも観られる高度は日一日低くなっていくので12月上旬までが観測の好機です。そこで今朝は氷点下に冷え込む寒さを我慢して撮影に挑戦しました

彗星が見えはじめる東北東の方角には少し離れた場所に高い松の木があるので枝に邪魔されない時刻まで待って撮影しました。
写真は横構図ですが、尾が思った以上に長く伸びていたので直後に縦構図に変えて薄明が始まるまで撮影を続けました

掲載した写真はJPEGの1枚で、ブログに載せるためにリサイズした以外は何も画像処理はしていません。原画では尾の濃淡がよく分かります。彗星の頭部は淡い緑色をしているようですが、自宅に帰ってから画像処理をして確かめたいと思っています。

撮影データ;
撮影日時:2013年12月5日 4時37分
光学系:Canon 70-200 F4L IS USM  (200mm,F/4)
カメラ:Canon EosX2 (IR改造)
JPEG,ISO-1600,露出180秒

2013年11月29日 (金)

在りし日のアイソン彗星

期待されたアイソン彗星の雄姿が観られなくなったので、Webで見つけたアイソン彗星の在りし日の壮大な雄姿をお見せしましょう。

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ドイツのMr.Waldemar Skorupa氏が2013年11月16日に撮影した写真です。
突然バーストして明るくなった直後に撮影されたもので、長く伸びた尾の末端まで淡いディテールが良く分かる素晴らしい写真です。

ブログに写真を掲載する時の制約で9MBの元画像を1MB以下にリサイズしているので若干迫力に欠けますが、画像を2度クリックしてより大きなサイズでご覧ください。

アイソン彗星は消滅...?

早朝から太陽観測衛星SOHOの画面を注視していましたが、NASAは早々と太陽に最接近したアイソン彗星が100万度を超える超高熱によって蒸発して消滅したと発表しました

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SOHOの3枚目,4枚目の写真には最接近(日本時間午前4時)を過ぎた後も彗星が写っていますが、別の太陽観測衛星SDOが撮影した下の写真には彗星があるべき位置(+印)には何も写っていません
両衛星の観測目的の違いにより使われている撮影用フィルターの透過波長の関係かもしれませんがNASAはSDOの写真で消滅したと判断したのでしょう。

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去年9月に発見された時から世紀の大彗星になると天文界で大きな話題になり、天文に興味の無い一般の人たちまで巻き込んだアイソン彗星フィーバーはこれで終わりでしょう

ところで12月4日に予定されているNHKの特別番組はどうなるのでしょうか
来月8日には飛行機からアイソン彗星を観測するツアーが行われますが、約10万円の費用にもかかわらず定員100席は発売15分で完売されたそうです。自然現象に当たり外れは付きものなので企画した旅行代理店,望遠鏡・双眼鏡のメーカーや販売店,天文雑誌の出版社などに何ら責任はありませんが、年末商戦で業者の思惑に煽り立てられた一般消費者にはアイソン彗星の空振りは痛い出費ではなかったでしょうか。