2014年11月21日 (金)

天体写真撮影の好機到来

秋が深まって夜空が澄んできました。寒さは徐々に厳しさを増しますが天体写真の撮影には好条件が揃ってきます。先日試しに撮影した写真を掲載しますが撮影したのが夜半前だったので気温は3℃でした。

今回は晩秋から初冬にかけて見られる代表的な対象を撮影してみました。夫々の見かけサイズは大きいのですが望遠レンズの焦点距離を上手く選ぶと1枚の写真に収まります。

① アンドロメダ座M31銀河と三角座M33銀河

M31_m33
右端:M31銀河  左端:M33銀河
5分露出の写真を4枚合成(総露出時間20分)
M31は私たちの天の川銀河に一番近い銀河ですが250万光年以上も離れています
M31を斜めに横切る2本の線は飛行機の翼端灯と思われます

②おうし座M45プレアデス星団(和名すばる)とペルセウス座カリフォルニア星雲

M45_california
右端:カリフォルニア星雲 左端:M45星団
5分露出の写真を6枚合成(総露出時間30分)
カリフォルニア星雲は水素ガス(赤い色)の広がりで手前の星に照らされて光っている
M45は若い星の集まりでベールのようなガス(青い色)に包まれている

撮影日時:2014年11月19日 21:00~23:00
撮影レンズ:Canon EF 70-200mm F4L (70mm F4.5で撮影) L41フィルター装着
撮影カメラ:Canon Eos X2 (IR改造)
ISO:800

写真をクリックすると大きな画像になります。スマホでは画面が小さくて見栄えがしないと思うので是非PCでご覧ください。

2014年6月 2日 (月)

夜空のベール

昨夜は快晴で透明度が高かったので絶好の撮影日和でした。狙ったのは白鳥座の網状星雲で、過去に超新星が爆発したときの痕跡です。
どちらも10分露出で撮影した写真に若干の画像処理を施しただけでブログ用にリサイズしてあります。

①NGC6960

_mg_1385_sis

②NGC6992

_mg_1379_sis

カラフルで淡く優雅に見えるのでベール星雲とも呼ばれていて、天体写真愛好家には人気の被写体です。二つを1枚に収めたいのですが、540mmの望遠レンズでは入りきらないので次回は200mmで再挑戦したいと思います。

2014年5月29日 (木)

夏の被写体

もう夜半過ぎには夏の星座が昇ってきます。
昨夜は新月で空が暗かったので天の川が濃く見え、南の低空には射手座,さそり座が輝いていました。また、頭上にはこと座,わし座,白鳥座の1等星が夏の大三角形を形作っていました。

一時は全天が雲に覆われてしまいましたが、0時過ぎには晴れ渡ったので写真撮影に取り掛かりました。昨夜の被写体は人気がある射手座の星雲です。

①射手座のM201(三裂星雲) と M8(干潟星雲)

M20m8_1ss

540mmの望遠レンズを使って5分露出の写真を4枚撮影し、画像処理で重ね合わせたので総露出時間は20分になります。縦の構図でギリギリ1枚の写真に収まりました。

②射手座のM16(わし星雲)

M16_1s

③射手座のM17(オメガ星雲) と M18星雲

M17_m18_1s

②と③は①と同じ機材で5分露出です。画像処理は行っていません。

夏の夜空は被写体が豊富なので撮影するのが楽しみです。真冬のような防寒対策は必要無いので体力的には楽ですが、気温が高いとカメラ内の電子回路から熱ノイズが発生するのでノイズを消すための画像処理が大変です。

2014年5月 4日 (日)

続々・久々の天体写真撮影

5月に入って夜半過ぎにはもう夏の星座が昇ってくるようになりました。夏の星座には撮影対象として人気がある星団や星雲が多く存在するので楽しみです。

今朝は風が強かったのですが空は澄んでいて天の川もハッキリ観えました。
一念発起して午前2時から空が白み始める午前4時まで今年初めての夏の星団と星雲の撮影を試みました。

①いて座の三裂星雲(M20)  暗黒星雲によって三つに別れているように見えるのでこう呼ばれています。赤と青に光るガス星雲の色の対比が綺麗です。

M20_1024

②こぎつね座のアレイ状星雲(M27)  中心にある星が爆発して広がったガス星雲ですが、鉄アレイの形に似て見えることからこう呼ばれています。

M27_1024

③こと座のリング状星雲(M57)  環状星雲とも呼ばれます。この星雲も中心にある星が爆発してガスが広がったものです。タバコの煙を吐き出して作る輪に似ていて良く撮影されますが、見掛けの大きさが小さいので難しい対象です。

M57_1024

④ヘルクレス座の球状星雲(M!13)  先日掲載した猟犬座の球状星雲(M3)と同じ形状をしていますが、こちらの方が大きく観えます。

M13_1024

4枚とも同じ機材で撮っているので画面で大きさを見比べてみると面白いと思います。

撮影機材や撮影データは省略しますが、日付以外は4月28日のブログに記載したものと同じなので参照して下さい。
焦点距離が1600mmもある超望遠レンズなのでピント合わせが至難です。レンズは温度変化にも敏感なので撮影中も度々ピントを合わせ直さなければなりません。

これらの写真も少しピントが甘いので満足できる作品ではありませんが、深夜に眠いのを我慢しながら頑張ったので取りあえずは善しとします。
初夏を迎えて温かくなったとは言え夜明け前の冷え込みはまだまだ油断できません。今朝も3℃まで気温が下がったので肌寒かったです。

2014年5月 2日 (金)

続・久々の天体写真撮影

昨夜の夜空は透明度が良かったので天体写真の撮影を続けました。
写真だけ掲載しますので撮影機材やデータは4月28日のブログを参照して下さい。写真をクリックすると大きい画像になります。

①猟犬座の球状星団 M3
およそ50万個の星がボール状に集まって星団を形成しています。

Image_m3

②猟犬座の子持ち銀河 M51
二つの銀河が接近して互いに重力で引き合っています。形状が面白いので撮影対象として人気があります。

Image_m51

③おとめ座のひまわり銀河 M63
良く見ると周辺がブツブツしていて種が密集しているヒマワリの花のように見えます。

Image_m63

④大熊座の回転花火銀河 M101
淡いので分かり難いのですが典型的な渦巻き銀河です。我々が居る天の川銀河も同じような形をしています。銀河を真上から見るとこんな形になります。

Image_m101

どれも数千万光年の距離にあって見掛けの直径が小さいので撮影するには長い焦点距離の望遠鏡が必要です。ピント合わせは百分の数ミリの精密さを要求されますが熱によってレンズが膨張や収縮するので頻繁にピントチェックしなければなりません。
また、星像を点に写すためには地球の自転をキャンセルするために正確な追尾が要求されますが、様々な要因で追尾の誤差が生じるのでなかなか満足できる成果が得られません。

2014年4月28日 (月)

久々の天体写真撮影

今年の冬は大雪の影響で大泉に来ることが儘ならなかったので思うように天体写真の撮影ができませんでした。そこで昨夜久しぶりにトライしてみることにしました。
空の状態があまり良くなかったのでテスト撮影と言う位置づけでしたが、オートガイドの追尾精度がいまいちだったので出来栄えには全く満足していません。

①おとめ座 M104・ソンブレロ星雲(銀河)  見かけ上の形が中南米の帽子・ソンブレロに似ていることから名付けられました。我々が居る天の川銀河も横から見るとこのような形をしています。

 

M104

②かみのけ座 M64・黒目星雲(銀河)  見かけ上の形が眼に似ていることから名付けられました。ガスが一部を覆っていて黒目のように見えます。

M64

撮影日:2014年4月27日

光学系:Meade LX200GPS 250mm F/10 + RD(x0.63) + LPS-P2
      合成f=1600mm,F/6.3
カメラ:Canon EOS X2(IR改造)  ISO=1600
露出:5分x2枚をコンポジット

春から初夏に掛けては色鮮やかな目ぼしいガス星雲がありません。むしろ超望遠撮影の対象になる銀河で特徴的なものが幾つかあるので狙っていくつもりです。

2013年11月11日 (月)

900年前に爆発した星

New1_m1si65_1024x681

牡牛座のカニ星雲で約900年前に最期を迎えた星が爆発した名残りと言われています。
当時は昼間でも見えたそうでヨーロッパや中国,日本の古文書に記載されています。塵やガスが現在も宇宙空間に広がり続けていて中心にある星の光で輝いています。
昔の望遠鏡ではカニの甲羅のように見えたので”カニ星雲”と名付けられました。

9日深夜に彗星を写真撮影するための準備をしている間に暇つぶしに撮影してみました。
今までにも数回撮影したことはあるのですが、焦点距離が長い望遠鏡での撮影は微妙なピント合わせや正確な追尾が難しくて満足できる写真が撮れていませんでした
今回はピント合わせの治具とガイド望遠鏡を新しいものに代えたのでまあまあの写真が撮れたので紹介します

撮影データ
光学系:ミード 25cmシュミットカセグレイン + RD (x0.63) + LPS-P2フィルター (焦点距離 1600mm)
赤道儀:ミード LX-200 GPS
カメラ:キャノン Eos X2(IR改造) ISO-1600 Careyマスクによるピント合わせ
オートガイド:ボーグ 101ED + ミード DSI Pro-Ⅱ + PHDガイディング
露出時間:5分露出の写真2枚をステライメージ Ver.6.5で合成,トーン調整,トリミング及びリサイズ

2013年10月 3日 (木)

アンドロメダ座の大銀河

M31_yimg_test2_blog

昨日の夕食時には空一面に雲が広がっていたので安心して晩酌してしました。ところが就寝前に念のため空を見上げたら綺麗に晴れて星空が広がっていたので、慌てて天文ドームへ行って望遠鏡を起動して2時間ほど秋の代表的な銀河であるアンドロメダ座 M31 の写真を撮りました。

撮影データ
撮影日時:2013年10月2日 20時22分~
レンズ:BOAG 101ED + 0.8xRD + LPS-P2フィルター (f=540mm,F/5.4)
カメラ:Canon EOS Kiss X2 (赤外改造)
ISO:800  露出時間:5分x4枚コンポジット
※撮影したのは12枚ですが大泉に置いてあるパソコンと画像処理ソフトが能力不足なので暫定的に4枚のコンポジットに止めました

秋から初冬にかけては撮影対象が目白押しです。気温も未だ氷点下に下がることは無いので暫くの間は晩酌も程ほどにして撮影に集中したいと思います

2013年8月 2日 (金)

いて座の散光星雲

昨夜は久々に晴れて天の川が観えました。湿度が70%もあったので空気の透明度はいまいちでしたが、久しぶりに天文ドームを開けて写真撮影を試みました。

_mg_0919_20130801_m8resize

写真はいて座にある散光星雲(M8)で干潟星雲と呼ばれています。赤い光を強調して写すことができる特殊なフィルターを使って撮影しているので肉眼では観ることが出来ませんが、今の時期の撮影対象としてアマチュア天体写真家に絶大な人気があります。

撮影データ
レンズ:ボーグ101ED + 0.8xレデューサー + 光害カットフィルター LPS-P2 ( 540mm, F5.4 )
カメラ:Canon Eos X2 (赤外改造) ISO800
露出:10分 JPEG

この他にもこと座の環状星雲(M57),こぎつね座のアレイ状星雲(M27),ヘルクレス座の球状星雲(M13)も撮影しましたが、まだ画像処理が済んでいないので後日掲載することにします。

2012年10月21日 (日)

天体写真~夏から秋へ

木々の紅葉が進み、天体写真の撮影対象も夏から秋へと移り変わりました。特に夏の対象は日没後既に西空に傾いていて僅かな時間が勝負です。今日のブログでは最近撮影した2枚の写真を紹介します。画像をクリックしてご覧ください。

①夏の星雲 NGC7293(みずがめ座らせん星雲)

N7293_yimg_blog

南中の高度が低いために南側にある高木が邪魔になって今までは撮影出来なかった対象です。今回は思い切って樹高を1.5mほど切り詰めて漸く撮影できるようになりました。
視直径は月の半分ほどもありますが淡いので難しい対象です。

2012年10月15日
Borg 101ED+RD 540mm F/5.3,Canon EosX2 IR改,ISO 800,IDAS LPS-P2
5分x1枚 + 10分X3枚を合成

②秋の星雲 M31(アンドロメダ座大星雲)

Img_0267_m31_blog

肉眼でも観ることが出来る有名な銀河です。比較的容易に撮影出来るので今までにも数回撮影に挑戦しましたが、なかなか納得できる結果が得られませんでした。
今回は透明度の高い素晴らしい条件に恵まれて銀河の渦巻き構造がハッキリ分かる写真が撮れて大満足です

2012年10月19日
Borg 101ED+RD 540mm F/5.3,Canon EosX2 IR改,ISO 800,IDAS LPS-P2
10分X1枚

これから寒さが益々厳しさを増しますが、その反面空気が乾燥して星空の状態は良くなってきます。秋から冬にかけての撮影対象が目白押しなので寒さに負けずに頑張ろうと思います